生業・生活に使われた小船の往来

 瀬戸内海では、大規模な物流のほかに、様々な生業・生活に用いられた小船が行き交い、網の目のように細かな生活の航路があった。 一つは島々を渡す「渡海船」であり、人を運ぶだけでなく、島の人々に代わって買い物をしたり、贈り物や手紙を届けていた。戦時中の配給制により再編成され、多くが失われた。
もう一つは行商船であり、一般的な日用品や衣料品、農産物を船に積み込み行商を行うものや、今治市の桜井漆器や鳴戸堂浦の釣り針を売るテグス船など、特定の物品を売る行商もあった。堂浦漁民の技術と新しい道具(テグス)のミックスされた威力は瀬戸内漁民の目をみはらせた。

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